2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

旅する力

深夜特急に書ききれなかった 沢木 耕太郎のアジアからヨーロッパへの旅のエピソード集。旅の日々の記録をノートに几帳面に記載していたことには脱帽。また 当時 TVで話題になった 猿岩石の旅のことなど 内容はとても充実していて読み応えがある。

「火宅の人」で有名な作家 壇 一雄の、というか女優 壇 ふみの父君を妻 ヨソ子さんの一人称で語った 沢木 耕太郎による私小説風のドキュメント。 あまり面白くはない。

あなたがいる場所

沢木 耕太郎の短編小説集。 みずみずしい叙情感であふてている。

やってみなはれ みとくんなはれ

直木賞作家 山口 瞳、芥川賞作家 開高 健による 寿屋(現サントリー)の社史。ともに 名文である。 かつ 社への愛情に満ちあふれていて興味深い。両者は寿屋の宣伝部に所属しながら 多くの 優れた小説を世に表していた。イラストレーターの柳原 良平も同時代…

ポーカー.フェース

沢木 耕太郎の最新エッセイ集。どの章もすばらしいが 特に「春にはならない」の鋭い考察には 心ひかれた。氷が融けたら なんになります? 一般には 答えは水であるが、この答えを春になります、と回答した少年の美しい気持ちが新聞で取り上げられた事があっ…

バーゼル

時計で有名なスイスの街 バーゼルはまた美術の街でもある。今年の夏 彼の地を訪れる予定なので 資料をさがした。 確か芸術新潮のバックナンバーにバーゼルの特集があったと記憶していたので ネットで調べたら 2011年の7月号に記載があった。何故 バーゼルが…

深夜特急

沢木 耕太郎による旅行記の最高傑作。ホンコン(市場で感激)、マカオ(ギャンブルに少しのめり込み)、バンコク(水上市場)、チュムポーン、ソンクラー、ペナン(売春宿に泊まり)、クアラルンプール(つまらない)、マラッカ、シンガポール、カルカッタ(…

赤めだか

天才 落語家 立川談志の弟子 立川談春の半生記。談春の師であり 家元である談志との 関りを淡々と表現しているが 内容は濃く 落語に一生を賭けた両者の いきずまるような日々の生活には心を強く打つものがある。一人の言葉で 人を笑わせ 感動させる所作の裏…

ささやかだけど 役にたつこと

レイモンド.カーバーの短編小説の傑作。 訳は村上 春樹。 ストーリーは 子供の誕生日のケーキを 一風変わったパン屋に注文したが、不幸にもその子は車に撥ねられ、当初は軽微な傷と思われたが 亡くなってしまう。父母はとても悲しみ、食も通らない。後日 そ…

みんなの図書室

FM広島の放送 日曜日の朝十時からの番組「 Panasonic Melodious Library」で 作家の小川洋子さんがパーソナリティを勤めているらしい。らしい?と言うのは まだ この番組を聞いた事が無いからである。この番組は 文学を広いテーマから 取り上げ 音楽とコラボ…

幾千の夜、昨日の月

角田 光代の旅のエッセイ最新版。旅では 必ず夜がやってくる。 闇のなかで 考えた事 思った事 様々な国で出会った事が 生き生きと描かれている。いままでのエッセイと重複する内容も多いが 簡潔で解り易い文章は 読んでいて飽きない。

今日もごちそうさまでした

極度の偏食家だった 作家 角田光代が ありとあらゆる食にめざめたことを 面白く 描いた最新エッセイ。食べる事の楽しさが 表現されている。装幀のイラストも秀逸。

しあわせのねだん

作家 角田 光代が「しあわせ」に感じた事柄の それぞれの値段についてのエッセイ。立ち食いそば 270円から種々雑多に事象に「しあわせ」を感じた時の単価を対象にした おもしろい文章が掲載されている。なるほど と思うこともあれば ちがう と思う事もあった…

口紅のとき

女の一生と口紅とのかかわりを描いた角田光代の短編小説。女性の女性のための 女性による小説なので 男性の読者にとって細部のニュアンスが難しく微妙な表現がされている。で 解りにくかった。

恋するように旅をして

角田 光代のしばらく前の旅についての随筆。 女一人でバックパックをかついて 東南アジアを旅したエピソードが いきいきと描かれている。

街道をゆく オランダ紀行

三十代の後半 司馬遼太郎の著作を夢中になって読んでいた。主として 戦国時代から明治までの偉人についての小説はとても 面白かった記憶がある。忙しい 会社勤めの合間に 寸暇を惜しんで読んでいた。今夏 オランダを旅する予定なので 久しぶりに この本を図…

アイガー北壁 気象遭難

新田 次郎の山に関する短編小説集。なかでも 魂の窓 には心うたれた。 これは スイスの片田舎の山村で 土地の老人とのかかわりを描いた小説だが この地方では 死の瞬間 窓から 人の魂が天に昇って行くとのことである。で この老人が死に際して 日本人の登山…

新編 山靴の音

「栄光の岩壁」の実在のモデル 登山家 芳野満彦氏の著作。氏は 青春時代 冬の八ヶ岳で遭難 両足の甲から先を凍傷で失ってしまうが 不屈の精神で 日本アルプスの名だたる岩壁を制覇、そして マッターホルン北壁登頂し そして これが日本人初の栄誉を持つこと…

栄光の岩壁

実在の登山家を描いた新田次郎の山岳小説。 幼少の頃から マッターホルンの北壁を日本人初登頂を達成するまでを 簡潔で格調高い文章で表現している。昔 新田次郎の小説に傾倒していて ほとんどの小説は読破していると思っていたが この作品は読んでいなかっ…

初つばめ

もと NHKアナウンサーの松平 定知さんが朗読の為に セレクトした 故藤沢周平の秀作短編集。いままで 読んだことがある作品が多々あると思うが 読み返して見ると 心打つ話が多く 楽しめる。 庶民の目で江戸時代の庶民の生活を 鋭く切り取り 温かいまなざしで…

ヘッジ ホッグ

スワンナプーム空港のジム トンプソンの店に可愛い ヘッジ ホッグが居たので 連れて帰って来た。このところ 日本はとても寒いので ほとんど袋に入っていて 出てこない。 たまに 温かい日があると 少し 顔を覗かせる。昨年もタイから 二匹 連れ帰ったので こ…

王宮

タイのバンコクの中心にある王宮は 瀟洒で豪華な建物で構成されている。王宮だけれど 誰もが内部に入って 参観できるのが良い。 もっとも 国王はここには住んでいられないそうだ。周辺はいつも 人と車で混んでいて 賑やかである。 近くでは フリーマーケット…

ワット アルン

タイのバンコクを代表する寺院。 といっても 日本のお寺とは異なり石造の塔である。 でも その造りは精緻で重厚であり、タイの十九世紀の築造技術の高さを象徴している。英語では「Dawn of Temple」と言われていて 暁に映える姿が極めて 美しいらしいが 暁で…