ボンネットバス


少年時代 中学高校とバス通学だったのでバスにはことのほか愛着がある。
当時のバスは写真の様なボンネットのあるバスで沖と奥、廿日市旧市街と上峠の間九十九折りの未舗装の曲がりくねった坂道を一時間強かかって結んでいた。そして沖のバスはリアエンジンの大型で、山奥行きは小型のボンネット付きであった。バスの形態からして劣等感があった。かつワンマンなんかではなくて運転手と車掌の二人乗務であった。それは其れで懐かしいが,違うのは沖のは車掌が若いバスガールで華があり、奥のはショボクレタ年配の男だったと記憶している。そこには華はまったく無かった。

今ではボンネットバスが貴重品骨董品扱いだ。まったくもって隔世の感がある。

当時のバスは騒音も大きく振動も大きく乗りごこちは最悪だったが 今となっては懐かしく 出来ればあの九十九曲がりの山道を再び経験したいと思うがこれは敵わぬ夢であろう。人が昔の少年に帰り得ないし、明石峠も殆ど直線化されてしまった。