椿


山本 周五郎の小説に「五瓣の椿」なる話がある。 夫を裏切り 放蕩に耽る生みの母が 関わった男達五人を 献身の愛で支えてくれた父を思う娘が 男を一人ずつ 勾引して 次々と刺し殺すストーリーであるが、 その現場に必ず椿の花弁の一片がある。 これは どうしても赤い椿でなくてはならないと考えていたが 文庫本のカバーをとって口絵を見たら 赤い椿の絵が描かれていた。

山本 周五郎の凄い所は 文章で 彼の様な椿が 生き生きと描かれている事であろう。最近 氏の小説を読んでいるが どれも 素晴らしい作品である。

今日も どんよりとした冬の日である。 この様な日でも赤い椿は その輝くような赤で人の目を楽しませてくれる。