グラニー

おばあちゃんと言う英名の薔薇。

だれにでも 普通 母方と父方に二人のおばあちゃんが居る。私の場合
母方のおばあちゃんは母を生んで すぐ 二十歳で亡くなっているので全く記憶に無い。また 大正時代の貧農の家であったので 記録としての写真もない。墓誌への記帳と過去帳のみに存在が記されている。

父方のおばあちゃんはかなりの歳まで健在であったと思うが 父は養子で伊藤家にきているので 実家に帰る機会もあまり無かった。 自分の記憶には 峠から 松が原まで 父が自転車に竹籠をくくり付け その中に私を入れて 連れてってくれたおりに 祖母があたたかい声をかけてくれたような気がする。一度きりの事だったと思う。 戦後のことである。貧しかった。

ラニーはおばあちゃんらしくない ピンクの若々しい色をしている。らしいといえば その色の暖かさかもしれない。玄関の脇に 秋の薔薇にはめずらしく 沢山咲いた。