寿司


昨日アメリカのサンディエゴに住む国際結婚した姪夫婦が遊びにきたので
お昼に家人が菜の花と穴子の散らし寿司をつくって御馳走した。もともとこの寿司は早春の材によって成り立っているがたまたま近くのスーパーに菜の花が出ていたので季節を十二分に先取りした寿司となった。

寿司にも色々種類があるが我が家では寿司と言えば散らしである。一般には牛蒡人参などを甘辛く煮た具材に貝や海の物を加えて錦糸卵を添えて供するのが普通であるが菜の花と穴子と松の実からなる今回の散らし寿司も中々の味である。

散らし寿司には悲しい思い出があって亡くなった母が最後に作った御馳走が其れだった。当時福山に住んでいて休暇にスキーにゆくので峠の実家に帰ったら救急車が赤い灯火が見えて母が搬送されるとこだった。直ぐに病院で緊急手術をしたが脳の動脈瘤破裂で四十二日後に亡くなった。とりあえず手術は成功したので家に帰って作っていてくれた冷たくなった散らし寿司を父とともに食した。寿司がとても冷たかったのをいまでも憶えている。その後当分のあいだ散らし寿司に縁がなかった。

あれからもう三十余年になって最近やっと寿司の本来の味が解るようになった気がする。