山法師


峠の家の前庭に ヤマボウシの木があって 初夏には白い花が咲き 秋には紫赤の実を着ける。 実は食す事が出来 甘い。

去年の秋 ふと思いついて 実を植えたらどうなるだろうか?と思い 佐方に持ち帰り 鉢に 十個くらい埋めてみた。

冬が過ぎ 春に成った。 が 鉢には何の変化も見えなかった。 ダメだったかと諦めかけていたら 最近になって 双葉が顔を覗かせた。 とても 目出たい事になった。

日々 その成長を見守っているが 余り変化は無い。熱心に観察しているのだが 植物のこととて 日々の形態はまったく変わらない。家人が肥料をやったが 大きさに変化は無い 気はせくが 仕方ない。

いずれは 峠の樹と遜色なきまで 育つだろう? とおもうが 日々の成長変化は まったく 感じられない! 日々不変である。

なので 大樹となり 花をさかせ 実がなるのは きっと 自分の死後であろうと思い 鉢を眺めている。