四十雀


シジュウカラはスズメと 少し異り 単独でチョロチョロ走りまた飛び回っている。この鳥を観ていると 亡くなった父親を思いだす。

貧しい山村で 農業を糧としていたが なかなか糊口をしのぐことが難しく
トマト栽培 苺農家 葡萄栽培 桃栽培と転々と 作を変え なんとか家四人を養うため 努力をしたが いずれもなんらかの支障があり 生活も豊かにならず やっと晩年 花木栽培で 世のバブルのほんの少しの おすそわけにあずかり 人並みの生計を得た。

だが 働きに働いた 彼の肉体を癌が蝕み 七十歳で一生を終えた。

当時 自分は心の病で とても苦しんでいたので 自分の病に加えて 息子の行く末を案じて 心痛のまま死んで行った。 いま考えても このことは親不孝の最大のものであって 残念でならない! 思うだけで涙が出てくる。

子にとっては親が健康であること そして親にとっては子が健康であることが
親孝行 子孝行であろう。

結果として 親に心配をかけたことは 今でも慚愧の念にたえない。

何故 シジュウカラ四十雀と書くのかは知らないが 自身の病も丁度 四十代であった。