染井吉野

近所の染井吉野が開花した。 桜のなかでも この木はクローンなので 一代限りで 寿命も短い。 京の桜守 佐野 藤右エ門さんによると 本来の桜などの範疇には入らないらしいが これはこれで 一般的で 花は綺麗だ。

昨夜 何気なく TVを見ていたら ネパールの子供達は いまが 鉛筆が貴重品らしい。 まだ 地面に枝や古釘で絵を描いている子も多いとの事だ。
日本で成功し ネパールの田舎の村に帰郷した人が 子供達へのお土産に鉛筆を手渡ししていて 受け取った子供たちがとても 嬉しそうな顔をしていて 微笑ましかった。

いまから 六十年くらい前には 山里の寒村 峠でも 自分自身 古釘で地面に絵を描いていたから 少し 切ない気持になった。 あのころは貧しかった。 でも みんな 貧しかったので 筆記具がないのも気にならない生活であった。

そして年に一度 四月三日は花見と称して 弁当を作ってもらい 小高い丘にあがって 食べた。 大した御馳走はなかったが これも 楽しみであった。 奥なので 桜が咲くのには 少し早かったようだが 春の気配はあった。

あれから 半世紀以上経つ、 みんな 豊かにはなったが 人と人の繋がりは希薄になったような気がする。

そして 桜の咲く時期も早くなった。 今年は冬が長かったが 昔に比べたら うんと 暖かくなったようだ。 反して 人の心は冷たくなって来た様な気がする。 事物に感激することも少なくなった。 TVに見たネパールの子供達の笑顔をみて ふと そう思った。

広島地方気象台は今日 染井吉野の開花を発表した。