菜の花

春の主役は さくらだが 欠かせない脇役に菜の花がある。 桜色と黄色の調和は 人々に春を実感させ 例えようの無い幸せな 日本固有の風景をもたらしてくれる。

日本の偉大な歴史作家 司馬遼太郎さんは 菜の花がことのほか 好きだったらしく 氏の命日は「菜の花忌」として 毎年 営まれると聞く。

司馬遼太郎さんの後期の著作に「菜の花の沖」がある。 これは 淡路島出身の江戸時代の豪商 高田屋嘉兵衛の生涯を描いている。遠くは サハリンまで 船で進出した商人であった。

早春の海と 丘の菜の花の組み合わせも日本を象徴すると思う。

今回の東日本大震災では 海水が 多くの命を奪ったが また 海が日本人の命を支えて来たことも 忘れてはならない。

春の穏やかな海が再び 日本に 幸せと希望をもたらしてくれますように願う。

私事ではあるが 「菜の花の沖」を読んでいた時に 鬱になっていた。 なので 当時 まったく文章が読めなかった記憶がある。 本が読めなくて 何も理解できなくて 後で思うと とても つらく 暗い毎日だったと思う。 でも たくさんの人の助力で なんとか 今日 普通の生活をしている。

被災された人々が 今は暗黒でも かならず 明かりが射してくる事を信じて疑わない。