クリスマスの木

この本は 父に死なれ 孤児となったシスターと共に成長したドイツトウヒの木の話である。

子供達がまだ小学生だった頃 ようやく 父母は生活の糧を花木栽培に得て、つましいけれど 安定した 生活を得ていた。

そのころ クリスマスの季節には 子供の背程のモミの木を沢山生産し
市場に出荷していた。もちろん クリスマスツリーの木として。 ある意味
で高度成長時代の少しばかりの恩恵を得ていたと思う。時には もっと 大きなツリーの注文もあって これは ヒマラヤシーダーの四、五メートル位を出荷した事もあった。

クリスマスには 田舎の峠の家にモミの木にツリーを飾り、ケーキを食べた。あの頃が両親にとって 人生最良の時期だったと思う。 なつかしい。

シスターと共に成長したドイツトウヒは その生涯の最後を ニューヨークのロックフェラーセンターのツリーとなって終える。 それをみて シスターは 子供の時 父とともに見たツリーの頂点にある星の輝きに、心満たされる。暖かい良い寓話であった。