宿飯


一般的な旅館の夕食はなにがなんだか分らないが会席膳風である。卓には前菜刺身向付などなどがならび一見豪華ではあるがあまり食欲はそそらない。見た目程美味く無いのが定番である。奥出雲の山中でオージービーフ(余り不味くは無かったが)のローストビーフやマグロの刺身なんかは食したく無い。なぜ地産地生のものにこだわらないのか不思議である。泊った「玉峰山荘」に付設された市場では新鮮なジネンジョや土地の野菜を販売しているのにまったくもって理解に苦しむ。加えて此処は美味しい仁多米の産地でもある。おいしい仁多米の御飯と山の幸のおかずさえあれば十分に心もお腹もみたされると思うにまったく不可解な夕食であった。

「冬の宿 今席膳は 皆不味し」 忠行