ノラや

朝日新聞の先々週の日曜日の書評を 家人が眺めていて 面白そうだと思ったのだろう 内田百輭の「ノラや」を図書館に行って借りて来て欲しいと言った。

家人はあまり本を読まない。 面白い本でも たいてい 途中で放り出してしまう。猫と一緒に座り込んで TVばかり観ている。

今回は違った。 彼女にとって十数年ぶり 否 数十年ぶりかもしれない、四、五日がかりで 完読した。 ノラ猫の話なので 我が家の飼い猫(ノラ出身)に比して 良く理解できたらしい。 家人曰く 文庫本なので 字も小さく 可成り厚かったのに 読めた。 達成感ありとの事。

内容は ノラ猫がいなくなる話と後で来たノラ猫 クルツが死んでしまう 内田百輭の嘆きが延々と続く随筆である。本の奥付を見たら、口絵は木版がで斉藤清画伯による「猫クルツと百鬼園先生と相寄りてお庭の詠めに興ずるの図」とある。

いままで 内田百輭の小説は読んだ事もなかったが 中にある列車旅の情景など 的確で楽しい。

こんど 第一から第三まである阿房列車を読んでみようと思った。